歯に詰めるプラスチックが危ない
今、歯に詰めたプラスチックの周りから虫歯になっている人が非常に多いです。特に奥歯に詰めた咬み合わせの面のプラスチックが非常に危険です。
どうして、こんな事が起こるのかと言うと、最大の原因は、プラスチックが硬化する時の収縮です。
虫歯の治療は、虫歯になった所を削って穴を掘ります。穴をどんな方法で埋めるかと言うと次のような方法が有ります。
(1) 穴の型を取って、石膏模型を作りその型にぴったり合った金属を造りセメントで固定する方法
(2) 穴の型を取って、石膏模型を作りその型にぴったり合ったセラミックを造りセメントで固定する方法
(3) 穴に接着剤を塗ってペースト状のプラスチックを埋めて固める方法
(4) その他、最近ではほとんどされないアマルガム充填・マニアックな金箔充填などもあります。
一般に保険を使うなら(1)の金属か(3)のプラスチックです。この(3)のプラスチックがペースト状から硬化する時にわずかに収縮するのです。固まる事と収縮する事は切れない関係です。これが危険と言っているのです。
収縮すると何が起こるかと言うと、削った穴とプラチックの間に隙間ができるのです。治療直後は目立ちませんが、時間と共に硬化は進み隙間が大きくなってそこに虫歯の菌や食物が入ると虫歯ができ始めます。
せっかく治療したはずの虫歯が、実はまた削った所から虫歯になっていくのです。「えー! 何のために治療しているの?」と思いませんか。当医院では、奥歯の詰め物の治療にプラスチックはほとんど使いません。しかし、他院から回ってくる患者様をみるとかなりの数、散見されます。大体治療後3年程度から危険な状態になり始めます
どうしてプラスチックを詰めるのでしょう?
もともと、プラスチックは前歯用の詰め物で、見た目に歯と変らない色の素材として開発されました。
奥歯には使っていませんでしたがしかし、時代が変化し奥歯も白い歯がもてはやされるようになりました。
もうひとつの大きな時代の変化が、金=Goldが高騰して高値安定しているからです。パラジウムという銀歯用の金属も高騰し、保険で使う金銀パラジウム合金は20年間で約5倍になりました。でも、保険点数はそんなに上がっていません。実は、金銀パラジウム合金を使うと利益はほとんどない状態にまでなっています。仕方なく安いプラスチックを埋めざるを得ない状況になっています。
これは、3日程前に来られたある患者様のレントゲン写真です。歯がズキズキするという事で神経を殺す事になってしまいました。原因は下の写真の黄色の丸の部分の虫歯ですが、上から見てもプラスチックが詰めてあるだけで虫歯になっている様子はなかったのです。しかし麻酔してプラスチックを外すとボロボロになつていました。
赤い丸の部分はこれから虫歯が進行して行こうとしている所で、同じくプラスチックの詰め物がしてあります。
見た目は悪いですが、金属やセラミックで埋めておけば多分こんな風にはならなかったと思います。
あなたの歯は、大丈夫ですか?