当歯科医院のコロナ感染予防対策 その7
いけだ歯科矯正歯科医院の院長 池田一彦です。
医科の医療機関や介護施設での感染が相次いでいますが、歯科医院での治療による感染はたったの一件だけのようです。
もともと歯科医院はコロナウイルスの感染リスクが高いと言われています。なぜなら、タービンで虫歯を削るときに水とエアーをかけながら削ったり、歯石を取る時に超音波を発生させながら水とエアーをかけて歯石取りをしますが、これらの時にエアロゾル粒子という細かい霧状の浮遊粒子が発生し、これにも新型コロナウイルスが付着している可能性があるからです。
もちろん接触感染もします。唾液が付着した手による直接接触感染や、手や器具が触った部分(スイッチ・取っ手・ドアノブ・キーボード等)を、さらに他の手で触れた時の間接接触感染でも広がっていきます。
感染の機会が多くなりがちな歯科医院ですが、全国の歯科医院で感染が広がったのは1件だけですから、危険があるとはいえ、歯科もかんばっていると思います。元々が、エアロゾルに対する感染対策が十分に取られてきている歯科医院も多いためではないかと思います。
更なる感染予防方法の情報が、歯科医師会経由にて入ってきました。東京歯科大学名誉教授の奥田克爾名誉教授からの情報です。とても長いので、いくつかのポイントがありますので簡単に要約しましょう。
① 診療する前に口の中をうがいしてもらい、一時的にウイルスを不活性化して感染力を低下させる方法
殺菌性洗口液には、薬用成分の種類によって色々なものがありますが、4種類のエッセンシャルオイルを含む「リステリン液」はグルコン酸クロルヘキシジン(CHX)や塩化セチルピリジニウム(CPC)よりも強い殺菌効果があることが知られています。
「リステリン液」はドラッグストアーに水歯磨き剤兼うがい液として売られています。
この液で30秒程度うがいをすると、インフルエンザウイルスやB型肝炎ウイルスが不活性することは、すでに報告されています。殺菌することとウイルスに効くことは別なので絶対に効果があるとは言い切れませんが、死ななくても不活性化するという意味です。
これと似たような構造(エンベロープを有する構造)をしている新型コロナウイルスも、短時間で不活性化するだろうということです。
リステリン液で、歯科の治療前に30秒間うがいをすればウイルスも不活性化されて感染にくくなると思われます。どの程度の予防効果があるのかは、ウイルスに関しては分かりませんが、細菌に関して言えば92.1%も減少したとのことです。
当医院でも、まずはリステリンで治療開始前にうがいをして頂く事にしました。味は3種類あり、アルコールの入っていない低刺激タイプですがやや辛い感じはします。治療前のリステリン液によるうがいのご協力をお願いいたします。
次回は
② 口腔ケアによって新型コロナウイルスの感染力も弱められる
という話です。