矯正治療の開始時期 パート4 (出っ歯)
不正咬合には色々な種類があり、症例によって開始時期は異なります。
前歯が出ている人は一般には出っ歯といいますが、正確にまたは歯科専門用語では上顎前突といいます。
上顎前突は不正咬合の中では、最も遅い時期から治療を開始します。なぜなら、乳歯の段階で前歯が出てくることはあまりありません。前歯が出てくる原因は、遺伝もありますが、咬み方の習慣によって前歯が出てくることのほうが多いと思います。したがって乳歯の間は比較的少なく、早くても、小学校の1~2年生で前歯が生えそろってくると「少し上が出ているかな」と気づきはじめます。
前歯は上と下に6本づつ計12本はえています。このうち、真ん中の4本(上下あわせて8本)が先に生え変わり,小学校の2年生くらいで上下4本ずつの咬み合わせが安定してきます。この頃から矯正治療が可能になります。
その後2年間くらいは、生え代わりが一時休止します。この休止している期間に、前歯が正常に咬めるようにしておく必要があります。もしも、上の前歯が出ていれば、正常なかみ合わせに戻しておかないと、小学校4年生から始まる奥歯の生え変わりの時に奥歯がずれた位置に生えてきます。特に、症状が中程度~重い場合には、後で永久歯を抜いてから矯正しないといけなくなります。ですから、早期の治療開始が必要です。
しかし、矯正をしていない歯科医師は、『もう少し、このまま様子を見ましょう』と言われます。繰り返しますがこれは要注意です。ワイヤーで矯正するなら、この時期(小学校3~4年生)は早すぎますが、ワイヤーを付けなくても、夜だけ使用するマウスピースを着ければ、治るケースも相当数ありますから、とにかく永久歯が生え始めたら、一度、一般の歯科医院ではなく、矯正治療を実際にしている歯科医師に診察してもらって判断してもらいましょう。
症状が軽ければ、マウスピースだけでも治る場合が多くあります。
症状が中程度ならば、マウスピースだけでは治らないこともありますが、ワイヤーになったとしても、上の歯を抜かないでも治せる場合が多くなります。
重症の場合でも、マウスピースをしておいたほうが、後々の治りがきれいに仕上がる可能性が高くなります。
上顎前突の治療は夜だけはめるマウスピースからのスタートで、既製品ですので歯の型がとれない人でもできます。
ぎりぎり4年生くらいでも治療は間に合います。
という訳で、まとめると、上顎前突に関しての治療の開始時期は、小学校2年生ぐらいからしたほうがよくて、重症でなければ小学校の4年生でも間に合います。5年生ではほぼ間に合いませんので、とにかく早いに越した事はありません。