歯科医師国家試験合格発表
今年も年に一回の歯科医師国家試験の合格者が発表されました。
全体では、3138人の受験者に対して合格者2003人で合格率63.8%でした。
赤字は集計値 青字が国公立大 緑字が私立大
新卒と既卒者がいて、既卒者は再受験や再々受験もいますから、もう少し合格率は高くなるとは思いますが、大体全体の3分の1の人が歯科医師になれない状況になってきました。
簡単に言うと、『大学歯学部を6年かけて卒業したのに歯科医師になれない人が3分の1ぐらいいる』という事です。
大学に入る時は、当然国公立の方が当然難しいので合格率は少し高いのですが、しかし私立との差は極端に違ってはいません。これはなぜかというと、問題の中に、どれかは判りませんが「この問題に正解しないとそれ以外のすべての問題ができていても合格できない」という問題が含まれているからです。いわば地雷のような問題です。それは、「問題が基本的で簡単なだからできて当たり前」という意味合いでは決してなくて、落とすための試験問題だからです。これには、歯科医師過剰問題が背景にあります。
歯科医師過剰といわれ始めたのは私が歯学部に入学した30年前位からで、当時の歯科医師数61,000人で人口10万人当たりの歯科医師数は52人で適性な歯科医師数50人を超え始めた時期でした。それから、はや30年がたちます。H24年の数で、歯科医師数100,000人・人口10万人当たり80人となり、コンビニの数より歯科医院の数が多くなりました。人口の減少が続くので、もっと歯科医師が過剰になっていくのは必至です。
無事に歯科医師に成れたとしても、そのあとの開業もまた、ままなりません。開業時に銀行が融資してくれなくなりましたし、実際に開業してもほどなく廃業して行く歯科医院もめずらしくは無くなりました。ここにきて、やっと歯学部の定員を削減しようという動きも出てきました。
患者様にとっては、知識と技量の無い歯科医師・歯科医院が少なくなり、特色ある歯科医院が増えて自分に合った医院を選ぶ事ができるようになり良くなりました。当医院も、この逆風の中でこれからも患者様に支持される歯科医院としてがんばっていきたいと思います。