40歳以上の9割は歯周病
☆歯周病とは
細菌の感染によって歯の周りの組織に炎症が起きる疾患です。年齢と共に進行し、40歳以上の成人の9割は、程度の差はありますが歯周病になっていると言われています。
進行すると歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けて支えることができなくなり最終的にはぐらぐらしてきて歯が抜けてしまう怖い病気です。
大きく別けて
① 炎症がまだ歯肉だけに起こっている⇒歯肉炎
② 炎症が歯槽骨や歯根膜にまで進んでしまっている⇒歯周病
以前は歯槽膿漏(しそうのーろー)ともよばれています。
☆歯周病の症状
①プラークが歯肉に付着して炎症を起こす
症状:ネバつき、口臭
②炎症によって歯肉が腫れて歯と歯茎の隙間に汚れがつきやすくなり炎症を起こす
症状:歯磨きの時の出血、歯茎が赤みをもつ
③歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)が深くなり、さらに奥に歯周病菌がたまることで炎症がひどくなり、歯を支えている骨が溶けていく
症状:腫れる、赤みが悪化する、炎症が起き歯茎を押すと膿がでる
④骨がさらに溶けて歯周ポケットが深くなる
症状:出血が多くなる、歯が揺れる、噛むと痛い、歯茎がよく腫れるようになる
⑤骨が歯を支えられなくなりグラグラして抜かないといけなくなる
症状:揺れて噛めない、痛くて噛めない、常に歯茎が腫れている
☆歯周病の原因
・歯垢・歯石・歯並び・かぶせ物の不具合・口呼吸
歯周病はお口の中にいる細菌による感染症です。お口の中には何百という種類の細菌がたくさんいて1mmの立方体の磨き残しのプラーク(歯垢)にたいし約100億個菌がいると言われています。磨き残しなどでプラークを増殖させたりして口腔内の環境を清潔にできていないと歯肉の炎症を引き起こす原因になります。
直接の原因であるプラークのほかにも関係している原因があります。
・喫煙・先天性の遺伝・ホルモンの影響・薬の影響・不規則な生活など
喫煙はタバコに含まれるニコチンが血管を収縮させてしまうので歯肉全体の血行が悪くなります。また、タバコの煙に含まれる一酸化炭素は組織への酸素がいきわたらなくなり酸欠状態になることで抵抗力が低くなり歯周病を悪化させてしまうと言われます。
☆歯周病は全身疾患にも影響
・動脈硬化・脳梗塞・糖尿病・心筋梗塞・低体重児出産、早産など全身に関わってきます。
歯周病菌は腫れている歯茎から体の血管内に入っていき血液と一緒に全身に回っていきます。なので、お口の中だけでなく全身にも影響してくるのです。
例えば糖尿病は歯周病の合併症のひとつと言われていて、歯周病にかかると糖尿病の症状が悪化し、逆に歯周病の治療をすると糖尿病も改善することがあると言われています。
歯周病を予防することで生活習慣病の予防や健康な体にも繋がります。
昔は歯周病の治療は歯石をとるなどの外科治療が主でしたが、それでは歯周病の原因になる菌が死なないので効果がみられませんでした。今では顕微鏡で歯周病菌を調べ、薬で菌を殺して治療する歯周内科という治療もあります。今痛みがないからと大丈夫と思われる方も一度歯医者で歯周病の検査を受けてみるのをおすすめします。