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院長ブログ

歯科矯正治療(歯並び治療)の開始時期  パート2 (床矯正)

歯科の矯正治療は一体いつから開始したらよいのでしょう?
意見の分かれるところですが、『もう少し、このまま様子を見ましょう』は要注意です。
前回から、このテーマで話していますが、前回の話は矯正治療の経験の少ない歯科医師が矯正歯科を標榜する話でした。その続きです。

5~10年前に、矯正方法の一つとして、床矯正(しょうきょうせい)という方法が流行しました。これも比較的簡単に矯正治療を始められるという理由で、一時的にはやりました。歯科医院の競争が激化したことにより、小児の患者を増やす事ができるという理由からです。やり方は、入れ歯のような装置を夜だけ入れておきます。簡単では有るのですが、この方法は、他人任せではなく、ある程度の矯正の知識が必要です。自分で診断して「床矯正だけで大丈夫そう」と判断して治療を開始する事になります。しかし、予期せぬ事態が起きたり、守備範囲を超えていたりという場合に自分だけで処置ができず、お手上げになる事があります。手に負えなくなった症例は専門医に回さざるをえませんし、そうすると信用を失うことになります。最初は簡単と思って始めた矯正が、歯科医師側にはストレスになるため次第に床矯正は流行らなくなりました。そのかわりに歯科医師にとってストレスの少ないマウスピース矯正(前回の記事を参照)が増えてきたのです。

床矯正は決して悪い方法ではなく、一般開業医にとっては、とても有効です。
本題の『歯科の矯正治療は一体いつから開始したらよいのでしょう?』の話に戻ります。

歯並びが悪いといっても実は、様々な形態があります。よくあるのは叢生(そうせい)という不正咬合の様式で、矯正の本場のアメリカやヨーロッパと同じく、日本人にも最も多い症例です。叢生は小学校低学年で、上下の前歯が出始める頃からはじまります。状態としては、歯が重なるとかスペースが不足して回転した状態になる感じで、八重歯の一種で、乱ぐい歯とか言う事もあります。この場合の治療法の第一選択肢が、実はこの床矯正です。この時に、一般の開業医で、矯正についてあまり知らない先生方にとっては、矯正=ワイヤーのイメージが強くあって、ワイヤー矯正なら小学校5~6年生から開始するのでまだ大丈夫と思い、『もう少し、このまま様子を見ましょう』と言ってしまいます。
しかし、軽い叢生なら、ワイヤーをする必要はなく、小学校低学年の1年生か2年生から床矯正をしておけば、永久歯が生えそろう頃には、終了し費用も4分の1から半分の予算で済みます。正確な時期は、個人差・程度の差があるのでいえませんが、小学校の3年生では、もう手遅れになる確率が60%となります。
小学校の2年生では、手遅れになる確率は20%ぐらいでしょうか。
小学校の1年生であれば、手遅れになる確率0%です。
小学校の4年生では、もう手遅れになる確率が90%となります。

という訳で、まとめると、日本人に最も多い叢生に関しての治療の開始時期は、
小学校の1~2年生ということになります。
他の種類の不正咬合につきましては、詳しくはまた次回に回します。

歯科矯正治療(歯並び治療)の 開始時期 パート1

歯科の矯正とは、いつから開始したらよいのでしょう?
意見の分かれるところでは有りますが、この質問に対して最も多い歯科医師の答えは、何と
『もう少し、このまま様子を見ましょう』なのです。でも、この答えは本当に要注意です。
次のような事が当医院で頻繁に起こります。
小学校高学年になってから、子供さんの前歯の歯並びが重なって来られる方が多くいらっしゃいます。
ワイヤー矯正の開始時期は小学校の5~6年生です。ワイヤー矯正をするなら決して遅くはありません。
しかし、もっと早くから矯正治療しておけば、ワイヤー矯正しなくて済んだのにと思う症例の何と多いことでしょう。

歯並びの悪さの程度には、当然のことながら個人差があります。軽い人から重症の方まで様々です。重症のかたは最終的にワイヤーで矯正する必要が生じます。しかし、症状の軽い場合は、早くから開始すればワイヤーをしなくても済む場合が沢山あります。
もう少し早くからしていれば、・・・・・・
◆ ワイヤー矯正をしなくて済む場合
◆ 抜歯しない矯正て済む場合
◆ 安い費用で済む場合
◆ 同じ治療でも、もっときれいに治療が完了する場合
◆ 短い期間で治療が終了する場合
等々。
虫歯の治療と同じで、早期発見・早期治療は矯正でも本当に大切なのです。

歯科医師も人間ですから、自分のやってきた経験とか、自分のできる守備範囲に応じた診断を下します。もし、矯正をした事がない歯科医師ならば、「今はひどくないから、まあ少しこのまま待ってみようかなあ~」と思うのも当然です。
でも、『もう少し、このまま様子を見ましょう』と言われたら、セカンドオピニオンで矯正の経験豊富な歯科医院を訪ねてみるべきです。そうなると、歯科医院を選ぶのが最も大切な要素になります。

しかし、最近は標榜科目に矯正歯科が入っている医院が多く、見分けがつきにくいです。なぜかというと、ここ2~5年で、流行のマウスピース矯正というのがありまして、それは1日のセミナーを1回受けるだけで、矯正の知識がほとんど無くて、矯正の治療経験もなくても、矯正が始められるのです。

ある業者さんが、矯正の診断~装置の設計・製作まで全てを請け負ってくれるので、歯科医院としては患者様に渡すだけの矯正です。歯科医院の競争が激化した事による経営的理由によって、簡単に売上を伸ばせるマウスピース矯正は結構な数に増えました。

もう一つ、似たような矯正方法で床矯正(しょうきょうせい)という方法があり、これも比較的簡単に矯正治療を始められるという理由で、一時はやりましたが詳しくはまた、次回に回します。

レントゲンはなぜ撮るの?

みなさん歯医者に行くと、レントゲンを撮られることがあると思います。
多くの歯科医院でレントゲン撮影は基本的な検査として行われていますが、どうして見れば分かりそうなのにレントゲンをとらないと行けないのかと疑問に思ったことがある方もいると思います。
歯科治療は口の中は直接見たり触ったりすることが可能で、目で見て分かる虫歯や歯周病の状態もありますが、内部で進行している病状は目で見るだけでは分からないことがたくさんあります。レントゲンを撮ることで目には見えない歯の状態がわかるので正確な情報を得ることができ、診断することができます。

☆レントゲン撮影でわかること。
虫歯の進行
歯と歯の接している面の虫歯
被せ物の下の虫歯
歯茎の下に歯石がついているか
歯周病によって歯を支える骨が溶けているか
歯の根が割れていないか、感染して膿胞ができていないか
神経がある歯なのか、ない歯なのか
レントゲン撮影でたくさんのことがわかりより正確な診断と治療をすることができます。

当院で撮影しているレントゲンには3種類あり、ひとつが小さなフィルムを口の中に入れて外から撮る方法で部分的に撮影します。
もうひとつはフィルムを口の中にいれないで外から顔まわりを一周回って撮るパノラマという方法で、歯や顎の骨格などが映るので親知らずの生えている方向もわかり、矯正治療を始めるときなどにも撮影します。
もうひとつはCTです。
立体的に撮影することができて、いろんな角度から見ることができます。位置などが立体的に正確にうつる分かるのでより正確に状態がわかります。
☆被曝量の心配
治療の経過など数回X線撮影をすることがあり被曝量が気になる方が多いと思いますが、日常生活のレベルで考えて、歯科の放射線量はほとんど心配しなくても大丈夫な範囲だと言えます。放射線は自然界に存在していて、私たちは常に地面や空、大気中などから放射線を受けているのです。その量は、日本では年間約1.5ミリシーベルトで世界の平均は2.4ミリシーベルトです。
小さなフィルムのレントゲンの放射線量→0.01~0.03ミリシーベルト
パノラマ放射線量→約0.04ミリシーベルト
この量は自然界から1年間に受ける量の50~150分の1程度の少ない値なのです。
妊婦の方や小さなお子さんのお母さんは特に心配になる方も多いかと思います。
実際、胎児に影響がでる被曝量は250ミリシーベルト以上と言われています。
そのため、もし、妊娠していることに気付かないまま歯科のレントゲンを撮ったとしても、影響はないと考えられますが、妊娠中の方は被曝量は少ないに越したことはないので念のためできるだけレントゲン撮影を避けたり、必要最低限の枚数を取って治療したほうが良いでしょう。妊娠中の方は必ず歯科医師に伝えてから受診されてください。

レントゲンを撮らないと的確な治療を受けることができないこともあるのでレントゲン撮影は歯科治療にとって欠かせない検査なのです。
歯科のレントゲンによってへの体の影響の心配はなく、治療の必要な情報が得られることのメリットのほうがとても大きいので、皆さんも歯科を受診する際は安心して治療を受けてください。

高校生の進路

もし、高校生の女子の方で、進路に迷われている方とか、看護士の資格を取ろうと思われている方がいらっしゃったら、ぜひとも歯科衛生士になることをお勧めします。今年も就職活動がほぼ終わりましたが、残念ながら、当医院では採用できませんでした。なぜなら、求人倍率が50倍という状況だからです。
歯科衛生士という職業自体があまり知られていません。簡単に言うと歯科専門の看護士さんみたいなものです。看護士の資格と同様に厚生大臣の免許ですし、給与もかなり高いです。現在の新卒初任給は福岡でも24万円くらいで、東京では25~26万円です。資格があれば、結婚出産後も再就職には困りません。夜勤はありませんし、看護士さんと比べるとかなり仕事は楽な気がします。(最近、母が入院していまして、看護士さんの仕事を見る機会が多く有ったので、看護士さんは大変そうだなと強く感じました。)
歯科衛生士の仕事のおもなものとしては、歯の歯石取り・歯磨きの仕方の指導と管理・定期的なメインテナンス・ドクターのアシスタント・寝たきり患者様の訪問歯科医療などなど多岐に渡ります。
ドクターと患者様の橋渡しの役目をするトリートメントコーディネーターも大切な仕事です。とても、やりがいのある仕事ですし、患者様からも感謝される事の多い仕事です。
人生設計の中で、なりたい物やしたい事が決まっているならいいのですが、もし迷われているなら歯科衛生士はお勧めの仕事だと思います。歯科衛生士になるには、看護士さんと同じく3年間は歯科衛生士の専門学校に行かないといけません。そこで歯に関する講義を受け臨床実習を修了して、国家試験の受験資格ができ、国家試験に受からないといけません。合格率は95%以上ありますので、ほぼ全員合格します。
もしも、4年生の大学に行って資格も無く普通に事務系の会社に就職しても、初任給で24万円はないでしょうし、会社を辞めて再就職すると、また仕事の覚え直しをしないといけないですから給与は当然さがります。
女性は結婚すると退職して、その後、子育てしながらのパートタイマーになる方も多いのですが、専門職なので一般の事務系よりは時給はかなり高いですし、就職も有利です。
というわけで、歯科衛生士は大変にすばらい仕事ですので、ぜひとも考慮してみてください。オープンキャンパスや体験会等も有りますので、興味がありましたらぜひとも、連絡してみてください。現在北九州市(小倉北区)には、3校の歯科衛生士専門学校があります。

虫歯を予防する食べ物

前回、砂糖が虫歯菌の栄養といいました。砂糖を全く取らない生活なんてまずできません。
しかし、砂糖を取っても虫歯にならないようにする方法はあります。
虫歯になるのは、口の中に砂糖の甘味が停滞している時間だけです。
砂糖とは、いわゆる白砂糖(主成分はショ糖という二糖類)だけです。ジュース等のブドウ糖液糖も含まれます。。
簡単に言うと、飴・ハイチューは最悪です。10分間濃い砂糖が溶け出して来ます。
チョコレート等の歯にくっつき易いネバネバした甘味もだめです。
逆に甘くても、サラサラしたアイスクリームなどは、比較的なりにくいです。
クリスマスケーキを食べたら、すぐにお茶を飲んで口の中を洗い流しましょう。
だから、必ずしも少しでも砂糖が入っていたらダメというわけではないのです。
以上まとめると、砂糖分が口に何分間とどまるかが大切という事です。
砂糖が長くとどまっている時間が、虫歯が進行している時間なのです。

人工甘味料はどうかというと、甘くても虫歯はできません。
天然には存在しない糖なので、細菌も分解して栄養にすることはできません。
いわゆるシュガーレスという表示がなされていたりしますが、砂糖ではないので大丈夫です。
さらにキシリトールは、虫歯菌を退治する作用があって、積極的に虫歯予防に貢献する事がわかっています。
しかし、砂糖の変わりにキシリトールを使ってお菓子を作ると5倍くらいの値段になりますので、売れないです。
200円のチョコレートなら1000円になってしまいます。スーパーでチョコが1000円で売っていても買わないですよね。

もう一つ虫歯を予防するたべものとして自浄作用のある食べ物を挙げる事ができます。
自浄作用とは、食物が歯の掃除も兼ねてしてくれるという食べ物です。
例をあげると、リンゴは自浄作用のあるたべものです。
りんごを咬むとシャキシャキしていて、水分が多くでできます。もし、歯の表面にベトベトした食品が着いていてもリンゴを食べると表面をこすって汚れを落としてくれるのです。食べ物自身が歯の掃除をしてくれるのです。
デザートにリンゴはおすすめですが、他にも自浄性食品はあります。
野菜なら、生のキュウリ・ごぼう・レンコン・生のキャベツ・刺身に着いている大根・タクワンなどなど
果物なら、なし・かきなど
繊維が多いとか、シャキシャキして水分が多いなどの特徴があるのです。
こういった食品を上手に使って虫歯予防をしていってほしいと思います。

「歯の運命」を決める知られざる常識

クリスマスケーキを食べた後すぐに歯磨きしましたか?
歯を磨くと虫歯にならないという常識が普及しすぎている感じがいつもするのですが、磨いても虫歯になってしまう部分があることをご存知ですか?
「虫歯になぜなるのか」を、研究する分野をカリオロジーといいますが、その分野の中では常識になっているのに、一般にはあまり知られていない事があります。
虫歯になり易い部分は3っあります。
(1)歯の咬む面の溝 
(2)歯と歯が接触する面
(3)歯と歯肉の境目
歯ブラシで歯を磨く事で虫歯を予防できるのは(3)だけ
フロス(歯磨き用糸)や歯間ブラシを通す事で虫歯を予防できるのは(2)だけ
しかし、(1)は歯磨きをしても虫歯になることがありますし、歯磨きをしなくても虫歯にならない事もあります。
つまり、(1)咬む面の溝は、歯磨きとは関係がありません。これは論文で認められた事実なのです。

では、何が原因かというと、歯が生えてきた瞬間に最初に溝に入ってきた菌が虫歯菌か虫歯菌で無いかによって歯の運命が決まるのです。
簡単に言うとオセロゲームの角のマスを占領するとその後はひっくり返らないのと似ています。
最初に虫歯菌が溝に入ってきて住み着いてしまうと、後から虫歯を作らない善玉菌が来ても、追い出されてしまうのです。逆に、最初に善玉菌が溝に入ってきて住み着いてしまうと、後から虫歯を作る虫歯菌が来ても、追い出されてしまうのです。つまり、歯が生えた瞬間に歯の溝が虫歯になるかならないかは、菌の種類によって決まってしまうのです。

この事実は、全くといっていいほど知られていません。歯科医師の半分くらいは理解しているような感じがしますが、知らない歯科医師もいますし、歯科衛生士も知らない人の方が多いような気がします。
つまり、虫歯予防の要(かなめ)は、歯が生える6歳から生え終わる13歳くらいにどのくらいの割合で口の中に虫歯菌が存在しているかにかかっています。
口の中に虫歯が有れば有るほど、虫歯菌の割合がおおくなります。生え変わる永久歯の隣の乳歯に虫歯があると、必ずといっていいほど永久歯は将来虫歯になります。
また、虫歯菌の栄養は砂糖だけですから、特に子供さんにおいては、砂糖の摂取量=虫歯のなり易さという事もよく考えないといけません。
乱暴な言い方になるかもしれませんが、一言で言うと、小学生の虫歯予防は、歯ブラシによる歯磨きよりも砂糖を長時間とらない事の方が大切です。歯磨きするならば、歯ブラシよりもフロスを歯と歯の間に通す事の方が有効です。
次回は虫歯になりにくい食べ物について少し書きましょう。

学会で発表しました

先日は、京都でバイコンインプラントの関西支部会が開催されまして、参加しました。
といっても、私が演者というか、私も自分の臨床を発表させて頂きました。
上の顎にインプラントを入れる場合、鼻の空洞(上顎洞とか副鼻腔とも言います)が接近していて、困る事がよくあります。そんな場合は、インプラントを数多くやっている先生でないとできないと言われる事もしばしばあると思います。
実際どの程度の骨の厚みが有るかによっての程度にあわせて色々な術式で骨を造成するのですが、オリジナルな方法を考えてみたので発表させて頂きました。
厚みが9mm以上あれば、通常の方法でインプラントが可能です。こんな感じです。

こういう感じが理想ですね。しかし、いつも理想的ではありません。
8~3mmの場合は、通常はソケットリフトという方法で、インプラントを埋め込む穴から
骨の素となる骨補填剤を入れて鼻の空洞に骨を作ります。

これでもまだいいほうです。
3mm以下になると、骨を作る量が多くなりますので、頬側から窓をあけて横から直接、骨補填剤を入れて骨を作ります。その際、多くのインプラントメーカーが採用するスクリュータイプのインプラントでは、インプラントが完全に固定できず、同時にインプラントを入れてしまうのは難しくなります。長いインプラントを薄い骨で固定すると不安定です。しかし、バイコンというショートインプラントを使用すると頬側に開けた窓から直接、インプラント本体を入れることができることに気づきました。
その方が患者様にとっては、手術回数が2回から1回に減る事になるので、肉体的負担も金銭的負担も減り、きわめて有効であると思います。他のメーカーのインプラントでは、長すぎて入れることができません。
バイコンインプラントが短いからこそできる方法です。

また、実際に今年の春から3症例ほどこの方法でトライしました。無理にしてしたわけではなく、できそうな場合のみ新しい方法でしてみるという同意を得てから手術しました。一応1次手術は全て成功しています。手術後は、10ヶ月くらいそのまま放置して、補填剤が固まるのを待ちますので、今は待っている状態です。
まだ完結していませんが、聞かれていた先生も興味深かったとのコメントを頂きました。
バイコンを集大成した本が最近出版されましたが、それとはまた違った方法なのでおもしろかったともいわれました。
バイコンインプラント 九州・沖縄支部長 池田 一彦

歯の外傷時の応急処置

人が歯を失う原因でもっとも多いものは何でしょうか?第一位は歯周病と言われています。最近は歯磨き粉などのテレビCM等でそのデータを目にする機会があった方もいらっしゃることと思います。ドラッグストアのデンタルケア商品コーナーを覗いてみれば、歯周病予防、治療を謳う商品が数多く陳列されており、年々歯周病に対する世間の関心が高まってきていることを伺わせます。しかし、この「歯周病が歯を失う原因の第一位」というデータは老若男女全ての方の平均を表したものであり、年齢別に見ていくとその順位にも違いが見えてきます。年齢が上がるにつれ、歯周病の影響が大きそうなことはなんとなく想像がつくことと思いますが、では若年層ではどうでしょうか?25歳までの若年層では、歯の喪失原因の第一位は「外傷、矯正、その他」が66.8%を占めており、それに継ぐ「虫歯(30.9%)」「歯周病(2.3%)」とは大きく水をあけています。例えば55~64歳のデータは「外傷、矯正、その他(16.6)」「虫歯(28.3)」「歯周病(55.1%)」となっており、その比率は全く異なっていることが分かります。つまり若年層においては、全体の傾向に反して歯周病よりも事故等で歯を失うリスクの方が高いということが分かります。小学校での歯・口腔領域の外傷割合のデータを見ると、「歯牙破折」「亜脱臼」が全体の70%を占め、ついで「脱臼」が25%と続きます。大人のかたで事故等によって完全脱臼となるのは稀ですが、これは歯を支える骨が子供に比べて成熟し強固になっており、歯に加わった衝撃を逃がさないので、力の集中した根や歯牙が折れてしまうことが多いためです。子供の場合は、骨が未成熟で柔軟であるため、歯が折れる前に丸ごと脱臼してしまうことがあります。「遊んでいたら、勢いあまって友達の頭にガツンと衝突。気がついたら血まみれの前歯が地面に転がっていて、口の中も血だらけ」
下の写真は交通事故により折れた歯と抜けた歯です。

こんな状態になってしまうと、本人はもとより、保護者の方も見た目の惨状にパニック、となっても致し方ない事かも知れません。しかし、こんなときこそ適切な対処法を知っているかどうかが、歯を一本失うかどうかの分水嶺となります。
まず第一に「根の部分を決して触らずに拾い上げる」ことが肝要です。抜け落ちた歯がもとに戻した際に生着するための必須条件として、「根に残っている歯根膜細胞が生きている」ということが挙げられます。このため、根の部分を持ってしまうと歯根膜細胞にダメージを与えてしまう恐れがあるので、歯の頭を持つように気をつけてください。
第二に「汚れていても、決して水道水で洗わない」ことです。理由はやはり、歯根膜細胞を保護する為です。水道水では浸透圧の違いにより組織破壊を引き起こします。
第三に「なるべく早く抜けた歯をもって歯科医院を受診する」ことを心がけてください。この際、歯牙保存液に浸漬して持ち運べれば最良ですが、一般家庭で備えていることは稀と思いますので、牛乳で代用することが可能です。歯についている汚れが多い場合は、擦らずに牛乳で軽く流してください。多少の汚れは落とさず一緒に浸けても問題ありません。
もしも牛乳さえも無ければ、口の中に入れて乾燥しないようにもっときて下さい。
若いうちに歯を失ってしまうと、その後長い時間を欠損と付き合っていかなければなりません。少しでも歯を残せる可能性を高める為に、必要な処置を頭の隅に留めて置いて頂ければと思います。

いきなりの??クイズ??です

いきなりクイズです。何の事についての記述か当ててみてください!
「気づかないうちに日常的に受け取っているもので、食べ物にも含まれる。病院で治療に使うこともあるし、温泉の効能を発揮する成分の一つでもある。しかし、多量に摂取すると様々な健康被害や、致命的な病気を引き起こす原因にもなりうる。」
さて、何でしょう?

一体どのようなものを想像されましたか?例えば「塩」なんかはどうでしょう?大抵の料理には含まれていて、気づかないうちに摂取していますし、病院では「生理食塩水」として点滴や注射、洗浄など様々な医療の用途で使われてます。塩化物泉は温泉ではポピュラーなものですね。多量に摂取すればもちろん体調不良になりますし、習慣的な摂取過多が続けば、高血圧から脳卒中や心筋梗塞の原因にもなりえます。
で、答えは「塩」かと言われますと、実はそれは私が意図した回答ではありません。上記の文章に当てはまるもの、それは「放射線」です。「塩」と「放射線」を比べると、「日常的でありふれたもの」と「あまり馴染み無く、危険な感じを受けるもの」というように感じられますが、放射線は塩と同じくらい私達の生活の中でありふれたもので、身近にあるものです。

放射線はレントゲンを撮影するときぐらいしか受けていないようなイメージがあるかもしれませんが、私達を取り巻く環境の中にはいたるところに放射能を持つものが存在しています。例えば空(宇宙)から、また大地から、空気中の微粒子から、食物から、普通に生活しているだけでも、年間の世界平均で2.4mSv(ミリ シーベルト)程度の放射線を受けています。2.4mSvと言われても、なんとも馴染みのない単位なのでそれが良いのか悪いのか判断がつかない事と思いますが、一年間に受ける放射線量が100mSv 以下であるばらば、人体への影響はほとんどないと言われています。

では、自然に受けるものではない、レントゲンなどの放射線量はどれほどなのでしょうか?たとえば医科で胸部CT撮影を受けたとすると、7.0mSv 程度になります。胸のエックス線撮影で0.1mSv 程度です。年間で2.4mSvだとすると、胸のレントゲン24枚で一年分の自然放射線量か、と思うと少なくはないように思えるかもしれませんが、例えば東京からニューヨークへ飛行機に乗って往復すると、それだけで0.2mSv程度の放射線を受けると言われています。これは飛行機が地上よりも空気の薄い上空を飛ぶためで、宇宙からの放射線の減衰量が少なく、結果として浴びる放射線量が多くなることによります

では、歯科でのレントゲンはどうでしょう?お口全体が写る大きいレントゲンが0.02~0.09、お口の中にフィルムを入れて撮影する小さいレントゲンが0.001~0.02程度になります。飛行機で受ける放射線量よりも少ない値ですね。また、実際に撮影する際には、不必要な部位への照射を防ぐために鉛エプロンを着用しての撮影になります。(そもそも、歯科における放射線被爆は非常に少ないので、エプロンは不要なのではないかという議論もあるくらいです)幅に数倍~数十倍の開きがあるのは、昔のフィルムによる撮影と最新のデジタルレントゲンによる差で、デジタル化によってかなり放射線量は少なくなっています。
当歯科医院では、CTは当然のことながら、すべてのレントゲンがデジタル化されているのでご安心ください。

レントゲン写真は、目視で見えない部分を診断するための非常に有用なツールです。歯茎の中に埋まっている骨や根っこの状態はもちろんのこと、頭が見えている歯であっても、歯と歯の間にできた虫歯などは神経にかかるような大きな虫歯でも目視のみの診断では分からない事があります。「放射線」と聞くと、「危険、有害」といったイメージが浮かぶかもしれませんが、適切に使用をすれば診断、治療、または健康増進の大きな助けともなります。当院では不必要なエックス線撮影は行いませんので、安心して受診してください。

40歳以上の9割は歯周病

☆歯周病とは
細菌の感染によって歯の周りの組織に炎症が起きる疾患です。年齢と共に進行し、40歳以上の成人の9割は、程度の差はありますが歯周病になっていると言われています。
進行すると歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けて支えることができなくなり最終的にはぐらぐらしてきて歯が抜けてしまう怖い病気です。
大きく別けて
① 炎症がまだ歯肉だけに起こっている⇒歯肉炎
② 炎症が歯槽骨や歯根膜にまで進んでしまっている⇒歯周病 
以前は歯槽膿漏(しそうのーろー)ともよばれています。

☆歯周病の症状
①プラークが歯肉に付着して炎症を起こす
 症状:ネバつき、口臭
②炎症によって歯肉が腫れて歯と歯茎の隙間に汚れがつきやすくなり炎症を起こす
 症状:歯磨きの時の出血、歯茎が赤みをもつ
③歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)が深くなり、さらに奥に歯周病菌がたまることで炎症がひどくなり、歯を支えている骨が溶けていく
 症状:腫れる、赤みが悪化する、炎症が起き歯茎を押すと膿がでる
④骨がさらに溶けて歯周ポケットが深くなる
 症状:出血が多くなる、歯が揺れる、噛むと痛い、歯茎がよく腫れるようになる
⑤骨が歯を支えられなくなりグラグラして抜かないといけなくなる
 症状:揺れて噛めない、痛くて噛めない、常に歯茎が腫れている

☆歯周病の原因 
・歯垢・歯石・歯並び・かぶせ物の不具合・口呼吸
歯周病はお口の中にいる細菌による感染症です。お口の中には何百という種類の細菌がたくさんいて1mmの立方体の磨き残しのプラーク(歯垢)にたいし約100億個菌がいると言われています。磨き残しなどでプラークを増殖させたりして口腔内の環境を清潔にできていないと歯肉の炎症を引き起こす原因になります。
直接の原因であるプラークのほかにも関係している原因があります。
・喫煙・先天性の遺伝・ホルモンの影響・薬の影響・不規則な生活など
喫煙はタバコに含まれるニコチンが血管を収縮させてしまうので歯肉全体の血行が悪くなります。また、タバコの煙に含まれる一酸化炭素は組織への酸素がいきわたらなくなり酸欠状態になることで抵抗力が低くなり歯周病を悪化させてしまうと言われます。
☆歯周病は全身疾患にも影響
・動脈硬化・脳梗塞・糖尿病・心筋梗塞・低体重児出産、早産など全身に関わってきます。
歯周病菌は腫れている歯茎から体の血管内に入っていき血液と一緒に全身に回っていきます。なので、お口の中だけでなく全身にも影響してくるのです。
例えば糖尿病は歯周病の合併症のひとつと言われていて、歯周病にかかると糖尿病の症状が悪化し、逆に歯周病の治療をすると糖尿病も改善することがあると言われています。

歯周病を予防することで生活習慣病の予防や健康な体にも繋がります。
昔は歯周病の治療は歯石をとるなどの外科治療が主でしたが、それでは歯周病の原因になる菌が死なないので効果がみられませんでした。今では顕微鏡で歯周病菌を調べ、薬で菌を殺して治療する歯周内科という治療もあります。今痛みがないからと大丈夫と思われる方も一度歯医者で歯周病の検査を受けてみるのをおすすめします。

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